ある勉強会で、ひとりの女性がぽつりとこう話してくれました。
「AIって、何を見せても“素晴らしいです”って言ってくれるんですよね。だから逆に、本当にこれでいいのか不安になるんです」

私も、この感覚を感じたことがあります。
たしかに、そうなんですよね。
ChatGPTに文章を見せても、企画の内容を相談しても、返ってくるのはたいてい「いいですね」「素晴らしい視点です」。
基本的に肯定してくれるので、ダメ出しをほとんどしてくれない。
最初のうちは、気持ちいいんです。自分のアイデアを肯定してもらえると、前に進んでいる気がします。
ただ、ここに落とし穴があります。
褒められて安心した瞬間が、いちばん危ないんです。
AIは、人間が満足する答えに寄っていく

なぜAIが褒めてばかりなんでしょうか? これ、使い方問題だけではないんですよ。
AIは、もともと「人間が満足する答え」を返すように調整されています。あなたが気持ちよくなる方向に、自然と寄っていくんです。だから、こちらが頼まない限り、わざわざ水を差すようなことは言いません。
つまりAIは、優秀な社員というより、機嫌をとるのが上手な社員に近い。(笑)
最初に「反証もセットで」と命令しておく

私は、これに気づいてから、AIの使い方をひとつ変えました。
「回答に対する反証もセットで出してください」と、最初に命令しておくんです。

たとえば、事実を調べさせるとき。私はAIに、こういう手順を強制しています。
まず、仮の答えを出させる。
次に、その答えが「もし間違っていたら?」という前提で、わざと反対側を探させます。「これはできない」「この仕様は嘘だ」と、自分の答えをわざわざ潰しにいかせるんです。
そのうえで、生き残った情報だけを、3つの違う一次情報源で照らし合わせる。
ここまでやって初めて、「事実」として採用します。
やっていることは、難しくありません。AIに「自分を疑う手順」を、付け加えているだけなんです。
人間は、自分で自分を疑うのが苦手です。「確証バイアス」という言葉もあるくらいですから、ほっとくと賛成意見を集めがちです。だったら、AIに「疑うタスク」を最初から仕事として与えてしまえばいいんですよね。
そして、もうひとつ。
最後に効くのは、人間の「なんか違う」

どれだけAIに反証させても、最後の最後で効くのは、生身の人間の「なんか違う」という感覚です。

さっきの勉強会の女性も、AIに何度褒められても消えなかった違和感を、人に見せてからほどいていきました。
AIが9割を作れる時代だからこそ、人間の感覚・感性の価値が、むしろ上がっている。
私は、そう感じています。
AIに疑わせる話を、メールで
AIが9割を作れるからこそ、最後の違和感を拾えるのは人間です。その続きの材料を、不定期でお送りしています。
実際の案件で起きたこと、うまくいかなかったこと、AIを使って分かったこと。ブログには書きにくい、もう少し内側の話です。
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